「登場人物×アクション×画面」で自社システムを棚卸しする

Web制作・開発
2025.12.10
LYZON編集部

「CMSがあって、MAがあって、SFAもあって……とにかくいろいろ入っています」

こうしたお話はよくうかがいますが、
システム名をいくつ並べても、「それで結局、誰が何をしているのか」が見えてこないことがあります。

本記事では、システム名や機能名のリストアップから一歩進んで、自社システムを“人の動き”で整理する方法をご紹介します。

キーワードは、「登場人物×アクション×画面」です。

目次

    システム名だけ並べても、全体像は見えてこない

    多くの企業でまず作られるのが、

    • 利用しているサービス名・ツール名の一覧
    • ベンダー名や契約形態の一覧

    といった「システム一覧表」です。
    もちろん、これも大切な情報ですが、
    これだけでは次のような疑問が解決されません。

    • 結局、どの部門がどのシステムをどのくらい使っているのか
    • 似たようなことを、複数のシステムで二重にやっていないか
    • 現場の担当者にとって「本当に使いやすい構成」になっているのか

    “誰が何のために使っているか”が見えないと、統廃合や再設計の判断がしづらいのです。

    「登場人物×アクション×画面」で考える

    そこで弊社が要件整理の現場でよく使っているのが、
    登場人物(WHO) × アクション(WHAT) × 画面(WHERE)
    という整理の仕方です。

    登場人物(WHO)

    • 社外:見込み顧客、既存顧客、パートナー、応募者 など
    • 社内:広報、マーケティング、営業、サポート、経営企画、現場部門 など

    アクション(WHAT)

    • 情報を見る(閲覧)
    • 情報を登録する(問い合わせ/申し込み)
    • 情報を更新する(記事更新/ステータス変更)
    • 承認する(申請の承認)
    • ダウンロードする(資料・レポート)

    画面(WHERE)

    • コーポレートサイト
    • 会員サイト/マイページ
    • 専用の管理画面
    • 社内ポータル
    • 各種SaaSの画面(MA、SFA、CRMなど)

    これらを組み合わせて表にしていくことで、
    「誰が・どこで・何をしているシステムなのか」 が見えてきます。

    簡単な表のイメージ

    例えば、非常に簡略化した例ですが、こんな表が考えられます。

    このように、

    • 行:具体的な「人の動き」
    • 列:それが行われている画面・システム

    という形で棚卸ししていくと、

    • 同じようなアクションを、複数システムで二重にやっている
    • 本来は現場部門が行うべき更新作業を、情報システム部門が肩代わりしている
    • 顧客がやりたがっていることが、画面構成と合っていない

    といった「歪み」が見えやすくなります。

    棚卸しをすると、必ず見えてくる“おかしなポイント”

    実際にこの表を一緒に作っていくと、ほぼ必ずと言ってよいほど、次のような気づきが生まれます。

    • 同じ顧客情報を、
      • 会員サイトで登録して
      • 別のシステムにも手入力している
    • あるシステムは「閲覧専用」のつもりだったのに、実際には現場が無理やり更新作業まで行っている
    • 重要なアクション(例:契約更新)が、使いにくい画面に埋もれている

    つまり、「どのツールを使っているか」より、「どのような動きがそこに乗っているか」が問題だった、というケースが多いのです。

    ここまで分かれば、ベンダーに相談しやすくなる

    ここまでの棚卸しができていると、

    • 「このアクションはもっとユーザーにやってもらうべき」
    • 「この作業は別システムと統合したほうがよい」
    • 「ここはCMSに寄せたほうが運用が楽になる」

    といった再設計の方向性が、格段に検討しやすくなります。

    相談を受けたベンダー企業側も、この表をベースに、別の見せ方(画面構成・導線)やシステム構成(どこを統合し、どこを分けるか)を提案しやすくなり、要件定義の効率が格段に上がる可能性が高いです。

    機能の話に入る前に、「人の動き」を整理する

    Webシステムの再構築や統合を考えるとき、
    すぐに

    • どのCMSを使うか
    • どのツールと連携するか

    といった“機能中心の議論”に入りがちです。
    しかしその前に、登場人物×アクション×画面という観点で、
    「自社では今、誰がどこで何をしているのか」を一度整理してみることをおすすめします。

    • 「自分たちだけでは整理しきれない」
    • 「棚卸しをしながら、一緒に将来の姿も考えてほしい」

    という場合は、こうした表の作成フェーズからLYZONがご支援することも可能です。
    まずはラフなメモレベルでも構いませんので、“人の動き”をベースにしたシステム整理を始めてみていただければと思います。