「登場人物×アクション×画面」で自社システムを棚卸しする
「CMSがあって、MAがあって、SFAもあって……とにかくいろいろ入っています」
こうしたお話はよくうかがいますが、
システム名をいくつ並べても、「それで結局、誰が何をしているのか」が見えてこないことがあります。
本記事では、システム名や機能名のリストアップから一歩進んで、自社システムを“人の動き”で整理する方法をご紹介します。
キーワードは、「登場人物×アクション×画面」です。
目次
システム名だけ並べても、全体像は見えてこない
多くの企業でまず作られるのが、
- 利用しているサービス名・ツール名の一覧
- ベンダー名や契約形態の一覧
といった「システム一覧表」です。
もちろん、これも大切な情報ですが、
これだけでは次のような疑問が解決されません。
- 結局、どの部門がどのシステムをどのくらい使っているのか
- 似たようなことを、複数のシステムで二重にやっていないか
- 現場の担当者にとって「本当に使いやすい構成」になっているのか
“誰が何のために使っているか”が見えないと、統廃合や再設計の判断がしづらいのです。
「登場人物×アクション×画面」で考える
そこで弊社が要件整理の現場でよく使っているのが、
登場人物(WHO) × アクション(WHAT) × 画面(WHERE)
という整理の仕方です。
登場人物(WHO)
- 社外:見込み顧客、既存顧客、パートナー、応募者 など
- 社内:広報、マーケティング、営業、サポート、経営企画、現場部門 など
アクション(WHAT)
- 情報を見る(閲覧)
- 情報を登録する(問い合わせ/申し込み)
- 情報を更新する(記事更新/ステータス変更)
- 承認する(申請の承認)
- ダウンロードする(資料・レポート)
画面(WHERE)
- コーポレートサイト
- 会員サイト/マイページ
- 専用の管理画面
- 社内ポータル
- 各種SaaSの画面(MA、SFA、CRMなど)
これらを組み合わせて表にしていくことで、
「誰が・どこで・何をしているシステムなのか」 が見えてきます。
簡単な表のイメージ
例えば、非常に簡略化した例ですが、こんな表が考えられます。
このように、
- 行:具体的な「人の動き」
- 列:それが行われている画面・システム
という形で棚卸ししていくと、
- 同じようなアクションを、複数システムで二重にやっている
- 本来は現場部門が行うべき更新作業を、情報システム部門が肩代わりしている
- 顧客がやりたがっていることが、画面構成と合っていない
といった「歪み」が見えやすくなります。
棚卸しをすると、必ず見えてくる“おかしなポイント”
実際にこの表を一緒に作っていくと、ほぼ必ずと言ってよいほど、次のような気づきが生まれます。
-
同じ顧客情報を、
- 会員サイトで登録して
- 別のシステムにも手入力している
- あるシステムは「閲覧専用」のつもりだったのに、実際には現場が無理やり更新作業まで行っている
- 重要なアクション(例:契約更新)が、使いにくい画面に埋もれている
つまり、「どのツールを使っているか」より、「どのような動きがそこに乗っているか」が問題だった、というケースが多いのです。
ここまで分かれば、ベンダーに相談しやすくなる
ここまでの棚卸しができていると、
- 「このアクションはもっとユーザーにやってもらうべき」
- 「この作業は別システムと統合したほうがよい」
- 「ここはCMSに寄せたほうが運用が楽になる」
といった再設計の方向性が、格段に検討しやすくなります。
相談を受けたベンダー企業側も、この表をベースに、別の見せ方(画面構成・導線)やシステム構成(どこを統合し、どこを分けるか)を提案しやすくなり、要件定義の効率が格段に上がる可能性が高いです。
機能の話に入る前に、「人の動き」を整理する
Webシステムの再構築や統合を考えるとき、
すぐに
- どのCMSを使うか
- どのツールと連携するか
といった“機能中心の議論”に入りがちです。
しかしその前に、登場人物×アクション×画面という観点で、
「自社では今、誰がどこで何をしているのか」を一度整理してみることをおすすめします。
- 「自分たちだけでは整理しきれない」
- 「棚卸しをしながら、一緒に将来の姿も考えてほしい」
という場合は、こうした表の作成フェーズからLYZONがご支援することも可能です。
まずはラフなメモレベルでも構いませんので、“人の動き”をベースにしたシステム整理を始めてみていただければと思います。
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