Drupalなら、タグもナビも管理画面から増やせる
サイトリニューアルのご相談では、目的として「CMSを自分たちで使いこなして、発信を増やしていきたい」というご要望を伺うことがあります。この要望がどこまで実現するかは、公開後の操作研修やマニュアルの整備だけで決まるものではありません。コンテンツをどのデータ構造で持つかという設計が、公開後に操作できる範囲を左右します。
Drupalでコーポレートサイトをリニューアルした案件でも、この要望が出発点にありました。ページ数は100ページ規模、お知らせ一覧、活動内容の一覧と詳細、お問い合わせ、サイト内検索という構成です。特別に大きなサイトではありませんが、記事のタグとグローバルナビゲーションの両方を、Drupalのタクソノミー(分類を管理するコア機能)で持つ設計にしました。
タクソノミーは、カテゴリの種類にあたる「語彙(Vocabulary)」と、個々の分類名にあたる「用語(Term)」という2層で構成されており、この構造によって親子関係を持った分類を管理画面から追加できます。この設計により、分類の追加もナビゲーション項目の追加も、管理画面の操作だけで進められます。本記事では、Drupalのタクソノミーで自社更新できる範囲を広げる方法と、設計時に確認しておきたい項目について解説します。
目次
自分たちで更新したいという要望は、3つに分けると要件になる
自社で更新したいという言葉は幅が広く、そのままでは要件になりません。ご相談の内容を伺いながら分解していくと、次の3つに整理できます。
- 既存ページの文言や画像を直したい
- 記事やお知らせを新規に追加したい
- 分類やメニューといった、ページを整理する軸そのものを増やしたい
このうち1つ目と2つ目は、CMSの標準的な編集機能で対応できる範囲です。CMSごとの違いが出るのは3つ目です。前述の案件では、お客様側から「今後タグを増やしていきたい」という要望が事前に挙がっていました。これは記事を増やしたいという話ではなく、記事を並べ替える軸を増やしたいという話です。この要望を先に受け取っていたことが、タクソノミーを選んだ理由になっています。
絞り込みの選択肢をプログラム側に書き込む実装にすると、軸が1本増えるたびに制作会社への依頼と見積もりが必要になります。運用が始まってから、思ったより自由に操作できないという評価につながる要因として、この3つ目が要件から抜けている点が影響していることがあります。逆に、3つ目を最初から設計に織り込んでおけば、公開後の分類の追加は自社の判断だけで進められます。
タクソノミーなら、絞り込みの軸を管理画面から増やせる
Drupalには、タクソノミーというコア機能が最初から備わっています。語彙ごとに用語を管理画面から追加でき、親子の階層も持てます。前述の案件では、活動内容一覧とお知らせ一覧の絞り込みタグを、このタクソノミーで管理しました。
この構造にしておくと、絞り込みの軸を1本増やす作業は、管理画面で用語を1件追加し、対象のコンテンツに紐づけるだけで完了します。Viewsの絞り込みフィルターをタクソノミー語彙に紐づけた構成にしておくことで、追加した用語は自動的に一覧ページの絞り込み選択肢に反映されるため、制作会社の見積もりや実装を待つ必要がありません。新しいテーマで発信を始めたいと考えたその日に、分類を用意して記事を並べられる状態になります。
前述の案件の絞り込みは単一選択で、複数タグの同時選択は初期リリースの範囲外として整理しました。詳細側のタグでも絞り込める2階層の構造にしたうえで、同時選択は次の段階で判断するという順序です。絞り込みは選択肢を足すほど良くなるとは限らず、条件を組み合わせた結果、該当する記事が0件になる場面もあります。どこまで持たせるかは、コンテンツ件数を確認しながらLYZONからご提案し、公開前に決めておく項目です。
一覧ページは、2本目以降を短期間で増やせる形にしておく
前述の案件では、活動内容一覧とお知らせ一覧という2つの一覧ページに対して、絞り込みのロジックをほぼ同じ構造で組んでいます。
一覧系のページは、実績一覧、セミナー一覧、事例一覧といった形で、公開後に追加されることがあります。1本目を個別に作り込むと2本目以降も個別対応になり、絞り込みの仕様を変えるときの改修が、一覧の本数分だけ発生します。1本目の時点で、同じ構造の一覧が後から増える前提を置いておけば、後続の追加は設計の複製で対応できるため、短期間での公開や、追加費用の抑制につながります。
要件定義の段階で共有しておきたいのは、いま合意している一覧が何本で、3年後に何本になる見込みかという点です。ここが分かっていれば、共通の仕組みをどこまで用意しておくべきかをLYZON側から具体的にご提案できます。将来の一覧が2本増える見込みであれば、その2本を初期リリースの構造に含めて設計しておくほうが、後から個別に作り足すよりも総額の抑制につながります。社内で企画されている施策をお聞かせいただければ、要件定義の場で一緒に整理することができます。
グローバルナビゲーションも、管理画面から並べ替えられる
前述の案件でもう一段踏み込んでいるのが、ヘッダーメニューもタクソノミーで管理している点です。Drupalにはコア標準のメニュー管理機能(Menu UI)もありますが、今回はタグの絞り込みと同じ親子階層をナビゲーションにも持たせ、両者を同じ設計思想で一元管理したいという理由から、タクソノミーでの管理を選びました。表示ラベルとリンク先URLをそれぞれフィールドとして持たせ、配下のディレクトリも階層で保持しています。ヘッダーの部品が呼ばれたタイミングで用語の一覧を取得し、順に出力する構造です。
この構造の利点は、メニュー項目の追加と並べ替えが管理画面だけで完結する点にあります。コーポレートサイトでは、部門の新設や統合、事業の再編に合わせて、ナビゲーションの見直しが必要になる場合があります。管理画面から並べ替えられる構造であれば、その見直しを新しい制作案件として起こす必要がありません。組織変更の告知に合わせて、自社のタイミングでメニューを組み替えられます。
一方で、設計時に決めておきたい項目もあります。ページの実体はコンテンツとして存在し、ナビゲーションのURLはフィールドで個別に設定するため、両者は別の場所で管理されます。ページを移したのに、ナビゲーションのURLが古いまま残るという状態が起こりうる構造です。LYZONではこの設計をご提案する際、URL変更時の確認手順を運用フローに組み込むか、リンク切れの自動検知を定期的に回す仕組みを、あわせてご案内しています。どちらの手当てを入れるかは、更新頻度と運用担当者の人数を伺ってから決める項目です。
設計時に決めておくべき項目をまとめると
ここまで解説してきた内容をふまえ、タクソノミーを活用した設計を検討する際に、要件定義の段階で確認・合意しておきたい項目を整理します。
- 絞り込みの選択は単一か複数か、複数選択時の件数ゼロをどう扱うか
- 一覧ページは現在何本で、今後何本になる見込みか
- グローバルナビゲーションの変更頻度と、URL変更時の運用フロー
- 絞り込み状態のURLをGA4でどう計測するか、canonicalをどう設定するか
- タクソノミー管理の担当者と、操作範囲の権限設定
これらは実装フェーズに入ってから決めようとすると、設計の手戻りが発生する項目です。リニューアルの要件として「自社で更新できる体制をつくる」を掲げているのであれば、どの操作を自社で担い、どこからベンダーに依頼するかという境界を、要件定義の段階で明確にしておくことが重要です。
LYZONでは、Drupalを使ったコーポレートサイトのリニューアルにおいて、タクソノミーを用いた分類設計と運用設計をあわせてご提案しています。現在の更新体制や今後の発信計画をお聞かせいただければ、要件定義の場で具体的な設計イメージを共有することができます。
よくある質問
Drupalのタクソノミーは、専門知識がないWeb担当者でも操作できますか?
はい、操作自体は管理画面から行うため、プログラムの知識は不要です。語彙(カテゴリの種類)と用語(個々の分類名)を追加・並べ替えする操作は、テキストを入力して保存するだけで完了します。ただし、どの語彙に用語を追加するか、どのコンテンツに紐づけるかという判断は、サイト構造への理解が必要です。LYZONでは公開後の操作研修と運用マニュアルの整備もあわせてご提供しています。
タクソノミーで管理するグローバルナビゲーションは、標準のメニュー管理機能と何が違いますか?
DrupalのMenu UI(標準メニュー管理機能)は、メニュー項目の追加・並べ替えに特化した機能です。タクソノミーでナビゲーションを管理する場合は、表示ラベルやURLに加えて独自フィールドを付与できる点が異なります。今回の案件では、タグの絞り込みとナビゲーションを同じ設計思想で一元管理するためにタクソノミーを選びましたが、シンプルなメニュー管理が目的であればMenu UIで対応できるケースもあります。どちらが適切かはサイト構成をお聞きしたうえでご提案します。
リニューアル後に一覧ページを追加したい場合、どのくらいの費用と期間がかかりますか?
初期設計の段階で「一覧が後から増える前提」を組み込んでいる場合、2本目以降の追加は既存の構造を複製・調整する作業になるため、個別に作り込む場合と比べて費用と期間を抑えられます。具体的な金額は一覧の仕様(絞り込みの有無、詳細ページの構成など)によって異なります。現時点で追加を検討している一覧があれば、要件定義の段階でお聞かせください。初期リリースの構造に含めて設計するほうが、後から追加するよりも総額を抑えられる場合があります。
LYZONが提供するWebサービス
Webに関するお悩みは、まずLYZONへ
構築・運用・AIまで、Webに関わる課題をワンストップで対応。まず何ができるかをご覧ください。
株式会社LYZONの社内ニュースを始め、デザインの知識やお役立ち情報など様々な情報を発信しています。