コンテンツを継続的に発信できるCMSリニューアルの進め方
Webサイトのリニューアルでは、デザインや情報設計に注目が集まりやすく、公開後の更新手順やコンテンツ制作の体制づくりが後回しになることがあります。
公開時点で見やすいサイトが完成しても、次のような状態では、定期的な情報発信が難しくなります。
- 記事の登録に時間がかかる
- 誰が承認するのか分からない
- 記事を公開するたびに一覧ページも修正する必要がある
Webサイトから問い合わせや採用応募を増やすには、ターゲットが求める情報を継続的に発信する必要があります。そのため、CMSにはページを管理する機能に加えて、社内から情報を集め、内容を確認し、公開するまでの作業を減らせる仕組みが求められます。
本記事では、デザインと更新のしやすさを両立し、コンテンツを継続して発信するためのCMS設計について解説します。
目次
公開後の更新が左右するWebサイトの成果
Webサイトは、公開した時点で完成するものではありません。製品情報、導入事例、技術記事、採用情報、ニュース、FAQを継続的に増やすことで、検索流入や問い合わせにつながる接点が増えていきます。
成果につなげるには、記事数を増やすことよりも、自社が獲得したいユーザーに役立つ情報を発信することが重要です。BtoB企業であれば、次のようなテーマが候補になります。
- 導入前に比較すべき項目
- システムを選ぶ際の判断基準
- 導入後に発生する作業
- 自社で対応できる範囲
- 導入企業が直面した課題と、その改善方法
PVを増やすことだけを目的に、本来の顧客層と関係の薄いコンテンツを増やすと、問い合わせや商談につながる割合が下がります。
CMSを設計するときは、コンテンツを登録する機能に加えて、次の点まで決める必要があります。
- 誰に向けた情報を発信するか
- 誰が情報を集め、記事を作るか
- どのくらいの頻度で公開するか
更新時間の増加と情報発信回数の減少
更新に時間がかかるCMSでは、公開本数が減りやすくなります。例えば、1本の記事を公開するために、本文の登録、画像の調整、一覧ページの更新、関連リンクの更新、承認依頼をそれぞれ手作業で行うと、担当者の作業量が増えます。
一方、記事本文と必要な情報を登録するだけで、一覧ページ、カテゴリページ、関連記事欄へ自動で反映される構造にすれば、作業を減らせます。具体的には、次のような設計が有効です。
- 情報を項目ごとに分けて管理する
- 一度登録したデータを複数の場所で使う
- レイアウトを共通部品として管理する
- コンテンツの種類ごとに承認条件を決める
- 画像サイズや入力形式をそろえる
- 公開日時と公開終了日時を設定できるようにする
更新担当者が自由にレイアウトを変えられる範囲を広げすぎると、ページごとの表現に差が生まれ、修正する箇所も増えます。一方で、入力項目を固定しすぎると、新しい施策に合わせにくくなります。
日常的に使う部分は共通の形にそろえながら、例外にも対応できる範囲を残すことが大切です。
画面より先に考える情報構造の設計
テンプレートは、完成したページの見た目だけでなく、登録した情報を別の場所でも使える形で設計します。
例えば、導入事例ページには、次のような情報があります。
- 企業名
- 業種
- 課題
- 導入内容
- 成果
- 利用製品
これらを本文の中だけに入力すると、後から業種別一覧や製品別一覧を作る際に、担当者が一件ずつ内容を確認して分類する必要があります。
一方、業種や製品を個別の項目として管理すれば、一覧表示、検索、絞り込み、関連記事に利用できます。
テンプレートを設計するときは、情報を次のように分けて管理します。
- 画面に表示する情報
- 検索や分類に使う情報
- ほかのページでも使う情報
- 公開日時や公開範囲を管理する情報
- 社内管理に使う情報
将来、検索機能やレコメンド機能を追加する予定がある場合は、初期段階から分類に使う項目を決めておくことが重要です。
必要な承認手順に絞ったワークフロー設計
CMSを導入する際、現在使っている申請書やメールでの承認手順を、そのままCMS上に再現しようとすることがあります。複雑な手順をそのままCMSに組み込むと、承認待ちや差し戻しが増える可能性があります。
まず、コンテンツごとに必要な確認を整理します。例えば、ニュースリリースは広報部門と法務部門が確認し、既存記事の誤字修正には簡略化した承認手順を使う方法があります。
すべてのコンテンツを同じ承認フローにそろえると、軽微な修正にも時間がかかります。そのため、次の項目をコンテンツの種類ごとに決めます。
- 公開する範囲
- 修正による影響
- 承認者が確認する内容
- 緊急時の公開手順
- 差し戻されたときの対応
- 承認者が不在の場合の代理担当者
品質を保つには、承認段階を増やすよりも、各担当者が確認する内容を明確にすることが大切です。 複数の担当者が同じ内容を確認している場合は、それぞれの役割を整理します。
デザインと更新のしやすさを両立する設計
見た目の品質とCMSの使いやすさは、別々の問題に見えますが、実際には互いに影響します。
ページごとに独自のレイアウトを採用すると、表現の自由度は上がります。一方で、制作や修正のたびにHTMLやCSSの調整が必要になる場合があります。
共通コンポーネントだけで構成すると更新しやすくなる一方、コンテンツごとの目的を画面に反映しにくくなります。
デザインと更新のしやすさを両立するには、よく使うレイアウトを共通の形にそろえ、必要な箇所だけを変更できるようにします。例えば、記事ページでは次の部品を共通で用意します。
- 見出し
- 本文
- 画像
- 表
- 関連リンク
- CTA
そのうえで、導入事例ページには「課題」や「成果」、製品ページには「仕様」や「問い合わせ先への案内」を追加します。
デザイナー、フロントエンド担当者、CMS設計者が連携し、公開後に誰がどのように更新するかまで含めて設計することが重要です。
CMSリニューアル時に決めるコンテンツ制作の流れ
更新本数を増やすには、CMSのリニューアルとあわせて、記事を作る担当者も決めます。
大企業では、次のような部門が発信できる情報を持っています。
- 営業
- 開発
- サポート
- 採用
- 広報
ただし、各部門の担当者だけでWeb記事を完成させるには、多くの時間がかかる場合があります。
そこで、現場から情報を集め、Web担当者や編集担当者が記事にまとめる流れを作ります。入力用のフォームやヒアリング項目を用意すれば、現場の担当者は専門的な情報を提供することに集中できます。
記事を作る流れの例は、次のとおりです。
- 各部門から情報を集める
- Web担当者や編集担当者が原稿を作る
- 関係部門が内容を確認する
- CMSに登録する
- 承認後に公開する
AIを活用して原稿案を作成し、人が事実確認や表現調整を行う方法も考えられます。
CMSへの登録手順、原稿を作る流れ、承認手順を一つの流れにまとめると、情報を集めてから公開するまでの期間を短くできます。
継続的な情報発信を支えるCMS設計
Webサイトのデザインは、企業の印象や情報の探しやすさに影響します。一方、検索流入や問い合わせを継続的に増やすには、ターゲットに合ったコンテンツを発信し続ける必要があります。
そのため、CMSリニューアルでは、公開時の画面だけでなく、次の一連の作業まで含めて設計します。
- 記事を作成する
- 内容を確認する
- 承認する
- 公開する
- 公開後に内容を改善する
更新担当者が行う作業、承認者が確認する内容、コンテンツを分類する方法まで整理することで、公開後も施策を続けやすくなります。
LYZONでは、Webサイトのデザイン刷新に加えて、次の項目まで含めてCMSリニューアルを支援しています。
- CMSのテンプレート設計
- コンポーネント設計
- 権限設定
- 承認ワークフロー
- コンテンツを作成して公開するまでの流れ
現在の更新作業を洗い出し、どの作業に時間がかかり、どの段階で確認が繰り返されているかを整理したうえで、更新しやすい仕組みをご提案します。
CMS製品を選ぶ前の段階や、現行サイトの更新課題を整理したい段階でもご相談いただけます。
CMSの更新性に関するよくある質問
Q1. 更新しやすいCMSとは、どのようなCMSですか?
記事を一度登録すると、一覧や関連ページにも自動で反映され、入力項目や画像形式が共通のルールにそろっているCMSです。操作画面だけでなく、権限、承認手順、公開日時、コンテンツの分類方法もあわせて設計します。
Q2. デザインの自由度を高めると更新負荷も増えますか?
デザインの自由度を高めながら、更新しやすい構造を作ることは可能です。ただし、ページごとに独自の実装が必要な構造では、修正するたびに制作担当者の作業が発生します。共通部分をコンポーネントとして用意し、必要な範囲だけ変更できる設計が有効です。
Q3. CMSを導入すればコンテンツの公開本数は増えますか?
公開本数を増やすには、CMSの導入に加えて、原稿を作る担当者、情報を提供する部門、内容を確認する担当者、公開までの手順を決めます。コンテンツを作る流れとCMSの更新手順をあわせて見直すことが重要です。
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