WebViewアプリ作成前に確認してほしい3つのこと
アプリ開発の相談をしていると、
「全部WebViewでいけますよ。中身はWebサイトなので、コスト抑えられます」
という提案を受けることがあります。
WebView(ウェブビュー)とは、
アプリの中に“ブラウザの窓”を埋め込んで、Webページを表示するような方式です。
情報配信が中心のアプリでは、とても有力な選択肢の一つです。
一方で、用途によっては「あとから困る」ケースもあるため、
この記事では「WebViewで作りましょう」と言われたときに、最低限確認しておきたい3つのポイントを整理します。
目次
そもそもWebViewアプリとは?
WebViewアプリは、ざっくり言うと、
- アプリ本体:
ログインやメニューなどの“枠”を提供 - 中身部分:
Webサイト(HTML)をそのまま表示
という構成です。
メリット
- 既存のWebサイトやCMSを活かしやすい
- 画面変更はWeb側の更新で対応できる場合が多い
- 一部の機能だけネイティブ実装にする、というハイブリッド構成も取りやすい
そのため、
- ニュース・お知らせ
- コラム・コンテンツ
- 会員向けの情報ページ
が中心のアプリと相性が良く、
「まずは負担少なくアプリを出したい」というケースでよく採用されます。
確認ポイント①
「アプリならではの機能」はどこまで必要か?
一つ目の確認ポイントは、
アプリならではの機能(ネイティブ機能)がどこまで必要か
です。
例えば、
- プッシュ通知(セグメント配信、細かな条件指定など)
- カメラを使った撮影・投稿
- 位置情報を使った近隣店舗の検索
- BluetoothやNFCとの連携
といった機能は、WebViewだけでは完結せず、
どうしてもネイティブ側の実装が必要になることが多いです。
質問しておきたいこと
- 「通知」「カメラ」「位置情報」などの利用は想定しているか?
- それは“あるといい”程度なのか、“必須要件”なのか?
- 必須の場合、その部分はどう実装するのか?
ここをあいまいにしたまま進めると、
「WebViewで安く済むと思っていたら、
結局ネイティブ実装も増えてしまい、想定以上の工数になった」
ということが起きかねません。
確認ポイント②
どこまでをWeb/CMSで更新できるのか?
二つ目のポイントは、
アプリの中のどの部分を、Web/CMSから更新できるようにするのか
です。
WebViewで作られたアプリでも、
- 画面構成はWebだが、文言の一部はアプリ内に埋め込まれている
- トップ画面の一部だけはネイティブで固定されている
といった構成もありえます。
確認したいこと
oどこまでがWeb/CMSで更新できて
oどこからがアプリ改修になるのか?
ここが明確になっていると、
「コンテンツ更新で毎回アプリの改修が必要になる」
という運用負担を、あらかじめ避けやすくなります。
確認ポイント③
将来「会員制」「ポイント連携」をやりたくなったら?
三つ目のポイントは、少し先の話です。
将来的に、「会員制」や「ポイント連携」をやりたくなる可能性がどのくらいあるか
です。
よくあるケースとして、
- 最初は「情報配信だけ」のつもりでWebViewアプリを作る
- 運用しているうちに、
o会員登録機能を付けたい
oポイントやクーポンと連動したい
oログイン状態を統合したい
といったニーズが出てくる - その時点で、ID管理やログイン設計を大きく作り直す必要が出てくる
という流れがあります。
確認しておきたいこと
- 「当面は情報配信だけだが、将来的に会員機能やポイント連携を検討したいか?」
- その場合、今選ぼうとしている方式は、どこまで拡張しやすいか?
- IDの「正本(マスタ)」はどこに置くイメージか?
完全に将来を見通すことは難しいですが、
- まったく会員制にする予定がないのか
- 2〜3年の間に検討する可能性が高いのか
で、選ぶべき設計の“幅”は変わってきます。
現実的な「ハイブリッド構成」という選択肢
実際の現場では、
「WebView中心+一部ネイティブ」というハイブリッド構成
になることが多くあります。
例えば:
- 画面の中身(情報)はWeb+CMSで管理
- ログイン/通知/カメラなど、スマホらしい部分だけネイティブ実装
- ログインと会員IDは、将来の拡張も見越して慎重に設計
という形です。
こうすることで、
- コンテンツ更新はWeb側で柔軟に
- アプリならではの機能も必要な範囲で活かしつつ
- 将来の拡張にもある程度耐えられる
というバランスを取りやすくなります。
「WebViewでいけますか?」ではなく、「何をどこまでWebで持たせるか」
「WebViewでいけますよ」という言葉は、
コストやスピードの面で、とても魅力的に聞こえます。
ただ、その一言だけで判断するのではなく、
- アプリならではの機能をどこまで求めるのか
- コンテンツ更新をどこまでWeb/CMSに寄せたいのか
- 将来、会員制やポイント連携をしたくなったときにどうするのか
という3つの観点から、一度整理しておくことをおすすめします。
「WebViewが良い・悪い」ではなく、
「自社の目的と将来像に対して、どこまでWebに寄せるべきか」
を一緒に考えることが、失敗しないアプリ企画の近道だと考えています。
WebViewアプリ制作に関するよくある質問
Q1. WebViewアプリって、結局なにを指しますか?
A. WebViewアプリは、アプリ本体が「ログインやメニューなどの枠」を持ち、中身はWebサイト(HTML)をアプリ内で表示する構成のことです。「アプリの中に“ブラウザの窓”を埋め込む」イメージが近いです。
Q2. WebViewアプリは、どんな用途だと相性がいいですか?
A. ニュース・お知らせ/コラム・コンテンツ/会員向け情報ページなど、情報配信が中心のアプリと相性が良いです。既存WebサイトやCMSを活かしやすく、画面変更をWeb側の更新で回しやすいのが理由です。
Q3. プッシュ通知って、WebViewだけでできますか?
A. 基本的にプッシュ通知はネイティブ実装が必要になることが多いです(WebViewだけで完結しない)。現場的には、WebViewで8割(中身)+残りをネイティブ(通知やバッジ等)で持つ構成に落ち着くことが多いです。
株式会社LYZONの社内ニュースを始め、デザインの知識やお役立ち情報など様々な情報を発信しています。