新規会員登録フローの設計で決めておくべき項目とは?
新規会員登録は、多くのWebシステムで必要になる基本機能です。一方で、導入直後は問題が表面化しなくても、運用開始後にSSOやソーシャルログイン、SMS認証などの要件が追加されると、当初のフロー設計によって改修範囲が大きく変わることがあります。
特に、外部サービスとの連携、認証方式、主キーの設計、会員規約やメール配信同意の取得タイミングは、見積もりや追加開発の工数に影響しやすい項目です。開発依頼の前段階で整理しておくことで、開発側との認識を合わせやすくなり、運用開始後の調整を抑えやすくなります。
本記事では、新規会員登録フローの代表的な設計パターンと、Web担当者が事前に確認しておきたい設計項目を解説します。
目次
会員登録フロー設計が改修範囲に与える影響
新規会員登録は、登録画面だけで完結する機能ではありません。ログイン、パスワードリセット、メール認証、会員情報変更、退会処理、外部サービス連携など、複数の機能と関係します。
そのため、運用開始後に「ソーシャルログインを追加したい」「シングルサインオン(SSO)に対応させたい」といった要望が出た場合、当初の設計によって改修範囲が変わります。
施策の追加や利用規模の拡大にともない、当初は想定していなかった要件が生じることがあります。そのため、開発依頼前に確認すべき論点を整理しておくことが重要です。
会員登録フローの代表的な2つの設計パターン
新規会員登録のフローには、大きく分けて2つの設計があります。どちらが適しているかは、サービスの性質、本人確認の要件、将来の外部連携の有無によって変わります。
初期画面ですべての情報を入力する設計
1つ目は、名前、メールアドレス、パスワードなどを初期画面で入力し、確認画面を経てメール認証を行うパターンです。
主な特徴は次のとおりです。
- 登録時に必要な情報を一度に取得できる
- ユーザーがイメージしやすい
- 導入実績が多い
- 認証未完了時のデータ管理が必要になる
この設計では、メールアドレスの有効性を確認する前に複数の情報を入力します。そのため、仮登録データの保持期間、再登録時の扱い、入力済み情報の削除条件を決めておく必要があります。
メール認証後に本入力へ進む設計
2つ目は、初期画面ではメールアドレスのみを入力し、メール認証を完了してから本入力へ進むパターンです。
主な特徴は次のとおりです。
- メールアドレスの有効性を先に確認できる
- 無効な登録情報の発生を抑えやすい
- 会社ドメイン制限を設計しやすい
- SSOやソーシャルログインと連携しやすい
この設計は、申込情報、会員情報、決済情報などを段階的に取得する構成にも拡張しやすいです。登録時に取得する情報が増える可能性があるサービスでは、初期段階から検討しておきたい設計です。
SSOやソーシャルログイン対応を見据えた判断軸
会員登録フローを選ぶ際は、将来の構造変更に対応しやすいかを確認します。特に、次の対応を検討している場合は、メールアドレスを先に確認する設計が有効です。
- SSOの導入
- 複数システムとのアカウント統合
- ソーシャルログインとの共存
- 会社ドメインによる登録制限
- 登録後の会員情報拡張
SSOとは、1つの認証情報で複数のシステムにログインできる仕組みです。SSOを導入する場合、メールアドレスを入力した時点で認証基盤に問い合わせる処理が必要になることがあります。
ソーシャルログインを導入する場合も、既存のメールアドレス登録との関係を整理する必要があります。メールアドレスで登録済みのアカウントと、GoogleやLINEなどのIDをどのように紐づけるかを決めておくことが重要です。
フリーアドレスの登録制限に関する考え方
フリーアドレスとは、GmailやYahoo!メールなど、個人でも取得できるメールサービスのアドレスを指します。
BtoB向けサービスでは、登録者の所属確認や資料閲覧者の管理を目的に、会社ドメインのメールアドレスのみを許可するケースがあります。
ただし、フリーアドレスを一律で制限すると、個人事業主や小規模事業者の登録を妨げる場合があります。制限の有無に加えて、例外対応、審査フロー、登録不可時の案内文も整理しておく必要があります。
開発依頼前に確認すべき会員登録の設計項目
新規会員登録の設計を進める前には、登録画面の項目だけでなく、外部連携、補助機能、同意取得、データ設計まで確認しておく必要があります。
SMS認証・ソーシャルログイン・SSOなどの外部連携
SMS認証、ソーシャルログイン、SSOを採用する場合は、外部サービスとのAPI連携が必要になることがあります。API連携とは、外部サービスとシステムの間でデータや処理をやり取りする仕組みです。
確認すべき項目は次のとおりです。
- 利用する外部サービス
- 連携するタイミング
- 取得するデータ
- 認証エラー時の表示
- 月次利用料の有無
- 障害発生時の対応手順
これらを見積もり段階で整理しておかないと、追加開発時に費用と工数の再算出が必要になることがあります。
reCAPTCHAやEFOツールなどの認証補助機能
reCAPTCHAは、ロボットによる不正な登録を抑制する仕組みです。EFOツールは、入力フォームの改善を支援するツールです。
導入する場合は、対象画面、取得データ、エラー時の表示内容、タグ設置範囲、管理者権限を確認します。マーケティング部門、開発部門、個人情報管理の担当者で確認すべき観点が異なるため、事前に役割分担を整理しておくことが重要です。
会員規約とオプトイン・オプトアウトの設計
オプトインとは、ユーザーがメールマガジンの受信や情報利用に同意することです。オプトアウトとは、ユーザーが同意を取り消すことです。
設計時には、会員規約を表示する画面、同意チェックの配置、同意履歴の保存方法、同意取り消しの手順を整理します。運用開始後に変更すると、画面構成や管理画面の表示項目にも影響する場合があります。
メールアドレスまたは内部IDによる主キー設計
主キーとは、データベース上でユーザーを一意に識別する項目です。
メールアドレスを主キーにすると、識別はわかりやすい一方で、メールアドレス変更時に影響範囲が広がる場合があります。内部IDを主キーにすると、メールアドレスの変更が他の処理に影響しにくくなります。
将来のSSO対応やアカウント統合を想定する場合は、ユーザー識別には内部IDを使う設計が検討しやすいといえます。
コストに影響しやすい項目と仕様整理が重要な項目の区別
確認項目は、コストに影響しやすい項目と、仕様整理によって認識差を減らす項目に分けると整理しやすくなります。
コストに影響しやすい項目は、主に外部サービスとのAPI連携が発生するものです。
- SMS認証
- ソーシャルログイン
- SSO
- 外部EFOツール
- 外部CRMやMAツールとの連携
- 決済サービスとの連携
一方で、次の項目は比較的実装負荷が小さいケースが多いです。
- 会員規約の表示位置
- オプトインのタイミング
- reCAPTCHAの有無
- 仮登録データの保持期間
- 認証メールの文面
- 登録完了後の遷移先
ただし、仕様として明確にしておかないと、認識のずれが生じた際に確認と再合意の工数が増えます。まず外部連携の有無を確認し、そのうえで画面項目や同意取得、主キーの方針を整理することが重要です。
開発依頼前に整理しておきたい確認順序
新規会員登録の設計では、確認項目を並列に見るのではなく、影響が大きい順に整理すると判断しやすくなります。まずは外部サービスとの連携有無を確認し、その後に認証方式、取得項目、同意取得、データ設計の順で整理します。
確認順序の例は次のとおりです。
- SMS認証、SSO、ソーシャルログインなどの外部連携の有無
- メールアドレスを確認するタイミング
- 登録時に取得する情報の範囲
- 会員規約やメール配信同意の取得方法
- 主キーをメールアドレスにするか、内部IDにするか
- 仮登録データや同意履歴の保存条件
この順番で整理すると、見積もりに影響しやすい項目と、画面設計や運用手順に影響する項目を分けて確認しやすくなります。
事前整理が開発品質と進行速度に与える影響
新規会員登録は、多くのWebシステムで実装される機能です。一方で、設計段階での確認漏れは、追加開発や改修の規模に影響します。
初期段階で整理しておきたい項目は、次のとおりです。
- メールアドレスをどの段階で確認するか
- 外部IDと既存会員情報をどのように紐づけるか
- 主キーを何にするか
- 仮登録データをどの期間保持するか
- 同意履歴をどのように保存するか
- 外部サービス連携をどの範囲まで想定するか
設計の選択肢と確認項目を事前に整理しておくと、開発側との認識を合わせやすくなります。その結果、進行中の確認回数や再合意の工数を抑えやすくなります。
まとめ
弊社では、新規会員登録の設計要件の整理や、既存の会員機能の見直しを検討している場合は、要件が固まっていない段階からご相談いただけます。現状の登録フローの棚卸し、非機能要件の整理、外部連携の要否判断、移行ステップの設計まで支援しています。
新規会員登録フローの設計に関するよくある質問
Q1. 会員登録フローは運用開始後に変更できますか?
技術的には変更可能です。ただし、ログイン、パスワードリセット、アカウント統合などと関連するため、影響範囲の確認が必要になります。将来SSOやソーシャルログインを追加する可能性がある場合は、初期設計の段階で前提を整理しておくことが重要です。
Q2. フリーアドレスの登録制限はどのような場合に必要ですか?
BtoB向けサービスや、登録者の会社名・所属を確認したいサービスで検討されます。会社ドメインに限定すると所属確認を行いやすくなりますが、個人事業主や小規模事業者も対象にする場合は、例外対応の方針も整理する必要があります。
Q3. 主キーの設計は開発者に任せてもよいですか?
開発者に判断を委ねることは可能です。ただし、主キーは将来のアカウント統合やSSO対応にも関わるため、事業側の方針も確認しておくことが重要です。メールアドレスではなく内部IDを主キーにすると、メールアドレス変更時の影響を抑えやすくなります。
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