インバウンド対策を成功に導く多言語サイトの作り方
近年、観光・ビジネス・教育など多様な目的で日本を訪れる外国人が増加しています。それにともない、企業や自治体に求められるのが「インバウンド対策」の強化です。
この「インバウンド対策」の1つとして重要なのが、Webサイトの多言語化です。Webサイトはパンフレットやリアルな接客と違い、24時間365日、自動的に情報を発信できるグローバル窓口といえます。そのため、インバウンド対策としてのWebサイトの多言語化が注目されています。
では、海外のユーザーに選ばれる「伝わる多言語サイト」とはどのようなものなのでしょうか。
今回は、インバウンド視点から見たWebサイト多言語化の必要性とポイントについて掘り下げていきます。
目次
なぜインバウンド対策に「Webサイトの多言語化」が必要なのか?
海外から日本にやってくるユーザーにとって、日本語のみのWebサイトは「分かりづらい」「不安になる」という大きなハードルになります。
たとえば観光業界では、宿泊施設・観光地・公共交通機関など、情報を事前に調べておきたいシーンが多くあります。しかし、言語対応が不十分だと、せっかく興味を持っていても予約や問い合わせを諦めてしまう可能性があります。これは、企業の製品やサービスを知りたい訪日ビジネス客にとっても同じです。
このことから、Webサイトの多言語化はビジネス機会の最大化につながる重要な施策であるといえます。
Webサイトの多言語化による3つのインバウンド効果
1. 情報発信の信頼性が高まる
ユーザーが母語で情報を得られるだけで、サイトの信頼度や安心感は格段に向上します。
翻訳精度の高さはもちろん、現地文化に配慮した表現・デザインの調整も、信頼構築の鍵になります。
2. 行動への誘導率が上がる
情報が正しく理解されれば、「問い合わせ」「予約」「購入」などのアクションにつながります。
多言語化により、離脱を減らし、行動喚起をスムーズにする効果が期待できます。
3. 海外からの検索流入が増える
多言語化されたサイトは、外国語キーワードでの検索にもヒットするようになります。 SEO効果により、GoogleやBingなどの海外検索エンジン経由の流入を増やすことが可能になります。
多言語化でよくある失敗とその対策
1. 翻訳だけに頼ってしまう
自動翻訳や単なる直訳では、文脈が伝わらず誤解を招くことも少なくありません。機械翻訳にのみ頼るのではなく、ネイティブによる監修やプロ翻訳の併用が望まれます。
2. 言語切り替えがわかりづらい
訪問者がどこで言語を変更すればよいかがすぐに分からないUIでは、離脱の原因になります。言語切り替えボタンをページ上部のようなわかりやすい位置に配置するなど、工夫が必要です。
3. 多言語ページの更新が追いつかない
日本語版だけを更新して、他言語ページの更新が出来ていない場合、情報の不一致や誤解の原因になります。この問題を解決するためには、CMSを活用して一元的に管理できる仕組みをつくることが有効です。
多言語化におすすめのCMSとは?
多言語化をスムーズに実現するためには、「多言語化が得意なCMS(コンテンツ管理システム)」を活用することが効果的です。
LYZONでは、グローバル展開やインバウンド施策に数多くの実績を持つSitecoreとDrupalを中心に、多言語対応に優れたCMSを取り扱っています。どちらも言語ごとのコンテンツ管理や翻訳ワークフロー、権限設定などを柔軟に行えるため、国内外のユーザーに向けた正確で一貫性のある情報発信が可能です。
それぞれのCMSが持つ多言語対応機能と特徴をご紹介します。
1. Sitecore
Sitecoreは、多言語・多拠点・マルチブランド運用に強みを持つCMSです。
言語ごとのコンテンツ管理、翻訳ワークフロー、ユーザー権限設定などを柔軟に行うことが出来るため、大規模なWebガバナンスが必要な企業に最適です。
さらに、各言語でのパーソナライズ表示や、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)との連携によるターゲティングも可能で、単純な翻訳にとどまらず、現地のニーズに合わせて最適化された体験を提供できます。
2. Drupal
Drupalは、オープンソースでありながら多言語機能が充実しています。そのため、グローバル対応に強く、カスタマイズ性の高いCMSとして多くの官公庁や自治体でも採用されています。具体的には以下のような機能があります。
- 言語ごとのURL切り分け
- 言語ごとの管理画面・ユーザー権限設定
- 翻訳ワークフロー機能(承認プロセスなど)
まとめ
インバウンド強化を本気で進めていくために、まずはWebサイトの「見せ方」と「伝え方」を見直すところから始めましょう。
Webサイトの多言語化は単なる翻訳作業ではなく、グローバルなユーザーに寄り添う体験設計です。Webサイトの情報の中でも本当に伝えたい情報を、対象の文化や文脈に合わせて「伝わるように表現」することが成功のポイントです。
CMSを活用し、戦略的に多言語化を行うことで、世界中の訪問者との接点を広げ、ビジネス機会の最大化を目指しましょう。
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