CMSのコストについて ―長期的視点で考えるべき理由―
Webサイトを新しく立ち上げる、あるいはリニューアルする際、「どのCMS(コンテンツマネジメントシステム)を選ぶか?」は避けて通れないテーマです。
CMSの機能や使い勝手はもちろん重要ですが、意外と見落とされがちなのが「価格(コスト)」の違いです。
CMSを導入する際、多くの企業がまず注目するのは「初期費用」や「導入コスト」です。しかし、CMSの選定で本当に重要なのは、ローンチ後の運用・保守・拡張までを含めた長期的なコストパフォーマンスです。
目次
短期的な価格だけでの判断にはリスクがある
CMSの導入費用を比較する際に見落としがちなのが、EC・会員管理・CRM・MAツールなど、将来的に必要となり得る機能が初期費用に含まれているかどうかという点です。一見すると低コストに見えるCMSでも、実際には必要な機能すべてが標準搭載されておらず、必要なタイミングで追加開発や外部ツールの導入が発生し、結果的に想定以上のコストがかかるケースが多くあります。
たとえば、導入時に「製品Aは300万円」「製品Bは1,000万円」と提示された場合、価格だけを見れば製品Aを選びたくなるかもしれません。しかし、製品Aは連携機能が乏しく、3年後に全面的なシステム改修が必要になるのに対し、製品Bは初期から多機能で10年使い続けられるとすれば、長期的に見たときの投資対効果は大きく変わってきます。
また、CMSは3〜5年でバージョンアップが必要になることが多く、10年そのままで使い続けられるケースは稀です。そのたびに、CMS単体だけでなく、周辺システムへの対応や検証が求められ、刷新コストは導入時以上に膨らむ可能性があります。そのため、初期費用の額面だけではなく、将来的な拡張性と周辺連携にかかる費用まで視野に入れたCMS選定が不可欠です。
中長期でのリターンを見据えた投資判断が重要
CMS導入の成果は、どれほどの業務効率化や売上貢献につながるかというリターンによっても評価されるべきです。実際に、ある企業ではCMS刷新によってWeb施策が飛躍的に強化され、売上が倍増した事例もあります。
CMSはWeb戦略の中核を担う基盤であり、将来的な拡張性や機能追加の柔軟性がなければ、変化の激しい市場ニーズに対応できません。初期費用が安いという理由だけで拡張性の低いCMSを選んでしまうと、将来的に競合に後れを取り、機会損失を招くリスクが高まります。
コスト構造と運用性の比較
コスト構造を図にして比較してみると、下図のように中小規模のCMSでは別途機能ごとに費用が発生する場合があることが分かります。長期運用を前提として、機能の取捨選択や、CMSの規模を検討することが大事になります。
さらに下図のように、CMSのレベルによって操作性や運用効率に違いがあります。
運用面での負荷が少ないCMSは、社内の工数削減にもつながり、見えにくい“人件費的コスト”の最小化にも貢献します。
「CMSのレベル」については、以下のページでも詳しく説明していますので、ぜひご覧ください!
【解説動画あり】Webサイト運用のしやすさを決める「CMS化のレベル」とは?
まとめ
CMSのコストを考えるときは、単年ではなく3年・5年・10年スパンでの総合コストと価値創出効果を見積もることが肝要です。
初期費用の安さに惑わされず、「どれくらい使えるか」「どんなリターンが得られるか」「将来的に拡張・統合がしやすいか」といった視点から慎重に選定することが、長期的な成功とコストダウンへの近道となります。
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