Sitecore AIが大企業のコンテンツ基盤に向く理由 ー 戦略変遷とAI時代における優位性を解説
Sitecoreという名前は以前から知られていても、最近の変化までは把握できていないという企業は少なくありません。特にここ数年は、市場の変化にあわせてXP、XM Cloud、Sitecore AIと製品の見え方を変えてきました。
「Sitecore AI」になり、変わったのは名称だけではありません。製品戦略そのものが整理され、AI活用を前提にしたコンテンツ基盤としての色が強くなっています。従来のようにCMS単体で比較するのではなく、コンテンツ、データ、DAM、AI活用まで含めて、どこまで一つの基盤で扱えるかという視点で評価すべき段階に入っています。
私たちは長年、Sitecore導入開発を支援してきました。その立場から見ても、現在のSitecoreは単なる機能追加版ではありません。以前のSitecoreを知っている企業ほど、今あらためて評価し直す意味がある製品へ変わっています。特に、複数ブランド、複数サイト、複数部門を抱える企業にとっては、AI時代のコンテンツ基盤として検討する価値が高まっています。
この記事では、Sitecoreの戦略の変遷を整理しながら、Sitecore AIの優れた点、Microsoftとの共同開発による優位性、そして追加されたAI機能によって何が可能になるのかを解説します。動画もございますので、ぜひご覧ください。
目次
【動画で解説】 “AI CMS”の本命?「SitecoreAI」
大企業向けCMSの選定で成果が出ない理由は、機能の多さやデザイン性だけで判断してしまうことにあるかもしれません。
重要なのは、大規模サイトに求められる要件を正しく整理し、自社に合ったCMSを選ぶことです。
大企業のWebサイトでは、パフォーマンス、セキュリティ、法規制への対応、可用性、拡張性、データ活用、複数部署での運用など、個人や中小企業向けCMSとは異なる高度な要件が求められます。
本動画では、大企業向け高機能CMSであるSitecoreの基本から、近年進んでいるSaaS化、統合ソリューションとしての進化、そしてCMSにおけるAI活用までをわかりやすく解説します。
あわせて、Sitecore AIによって実現できるコンテンツ生成やデータ活用、Webサイト運用の効率化についても具体的にご紹介します。
Sitecoreを理解するには、XPからSitecore AIまでの流れを押さえる必要がある
Sitecoreを現在の視点で正しく評価するには、まずXPからXM Cloud、そしてSitecore AIへと続く流れを整理する必要があります。
- XPは、オンプレミスやクラウド上にアプリケーションとして導入し、自社要件に合わせて柔軟に拡張しやすい構造が特徴でした。大規模サイト、会員サイト、複雑なワークフローを持つ企業にとって、作り込みやすい点が大きな魅力でした。日本でも長く導入実績があり、現在もXPを中心に運用している企業は少なくありません。
- XM Cloudは、SaaS型へ大きく舵を切った製品です。導入や運用の考え方はXPとはかなり異なります。この時期には、CMSはCMS、CDPはCDP、検索は検索と、必要なものを個別に選ぶコンポーザブル寄りの見せ方が強く打ち出されました。柔軟な組み合わせを好む企業にとっては分かりやすい一方で、全体最適の観点では導入後の連携設計が増えやすい側面もありました。
- Sitecore AIでは、この流れがさらに変わっています。AI活用を前提にすると、コンテンツやデータが分散している構成では扱いにくくなるため、再び統合が重要視されるようになりました。
ここが、XM Cloudの時代とSitecore AIの時代を分ける大きなポイントです。Sitecore AIは、単にAI機能が追加されたCMSではなく、AI時代に合わせて製品戦略そのものを整理し直した結果として見るべき製品です。
Sitecore AIが優れている理由は、AI時代に必要な統合基盤へ戻ったことにある
多くの企業がAI活用を検討し始めるとき、まず注目しやすいのはコンテンツ生成機能です。文章を作れるか、画像を扱えるか、自動化の幅が広いか、といった点です。しかし、企業のコンテンツ運用まで含めて考えると、それだけでは十分ではありません。
重要なのは、AIが参照するコンテンツ、ブランドルール、アセット、顧客データ、配信先の構造が、どれだけ整理された状態で同じ基盤にあるかです。
Sitecore AIが優れているのは、この前提に対して製品側が明確な答えを出している点です。必要なツールを個別に選ぶ形ではなく、できるだけ一つの基盤で完結させる方向へ戻したのは、AI活用においてそのほうが合理的だからです。
コンテンツが別の場所、DAMが別製品、CDPが別基盤、配信ログも別管理という状態では、AI機能を導入しても、参照元や連携条件の整理に時間がかかります。Sitecore AIは、その構造的な負荷を下げやすい構成になっています。
また、パッケージとしてのまとまりが強くなっている点も重要です。CDPやDAMを含む構成がより見えやすくなり、単品を積み上げるのではなく、最初から一定範囲を同一製品群で扱えるようになっています。これは単に機能が増えたという話ではありません。導入後に別製品を都度つないでいく手間を減らせるというメリットもあります。
結果として、導入時の説明がしやすくなり、運用開始後の見直しも進めやすくなります。
Microsoftとの共同開発が、Sitecore AIの大きな優位性になっている
現在のSitecoreを語るうえで、Microsoftとの連携は外せません。ここで重要なのは、単なる連携先の一つではないという点です。CopilotやOffice 365を中心とした業務環境の広がりを前提にすると、AI活用の現実的な入口は、日常業務とどれだけつながるかにあります。Sitecore AIは、Microrosoft社との共同開発を行っているためこの接続部分で非常に強い訴求力を持っています。
たとえば、多くの企業では、コンテンツ更新の前段階でExcelやWordが使われています。商品情報の整理、コピー案の管理、原稿の下書き、承認前の調整など、実際のコンテンツ業務はCMSの管理画面だけで完結していません。
ここにCopilotやMicrosoftのAI機能が入り、さらにその流れがSitecoreへ自然につながるのであれば、AI活用は一気に現実的になります。Excelで更新していた内容をそのままWeb公開フローへ接続したい、Wordで作った原稿をコンテンツ管理と連動させたい、というニーズは大企業ほど多く見られます。
さらに、Microsoftの戦略と歩調を合わせやすい点も大きな優位性です。企業導入では、単独のAIツールとして優れているかどうかだけではなく、今後どのエコシステムが社内標準になっていくかが重視されます。
特にBtoB企業や大企業では、Office 365がベースになっていることが多く、個別機能で他ツールが優れていたとしても、全社の業務環境まで含めるとMicrosoft寄りの判断になることがあります。Sitecore AIは、企業側の判断構造と相性がよい製品です。
Sitecore AIでできることは、コンテンツ生成の効率化だけではない
Sitecore AIの価値は、単なるコンテンツ生成ツールとしてだけではありません。ブランドイメージなど、生成の前提になる情報を構造化して保持し、そのルールを運用に組み込むことができます。その意味で、ブランド戦略との相性も非常に大きいといえます。
たとえば、商品ごと、ブランドごとにブランドコンセプトや表現ルールを登録し、それに沿ってブログ記事、SNS投稿、各種コンテンツを生成するような運用は、Sitecore AIの強みが出やすい領域です。ブランドコンセプトが明確に定義されていれば、生成されるコンテンツの方向性を揃えやすくなります。
逆に、ブランド方針が整理されていない状態では、AIによる生成結果の確認工数が増えやすくなります。
この考え方は、グローバル企業や複数ブランドを持つ企業に特に向いています。ブランド表現がぶれやすい環境では、AIが自由に文章を作ること自体が課題になることもあります。しかし、ブランドコンセプト、推奨表現、禁止表現、媒体ごとの出し分けルールを管理できれば、AIは単なる自動生成ではなく、ブランド運用を支える仕組みになります。
今後は、AI機能の有無だけでなく、ブランド定義をどう資産化するかが重要になります。Sitecore AIは、このブランド定義とコンテンツ生成をつなぐことができる点が大きな特徴です。
今あらためてSitecoreに関心を持つべき企業
Sitecore AIに関心を持つべきなのは、単にAI機能付きCMSを探している企業だけではありません。むしろ、次のような企業に向いています。
- これからコンテンツ基盤を見直したい企業
- 複数のサイトやブランドを横断して管理したい企業
- Office 365を前提に業務を回している企業
- DAMやCDPとの連携を整理したい企業
- 将来的にAI活用を本格化したい企業
特に大企業では、サイト、ブランド、事業、国/地域が分かれているため、CMS単体の機能差より、どこまで同じ基盤で整理できるかが重要になります。さらに、AI活用の観点では、データやコンテンツが分散したままでは施策が増えるたびに調整が必要になります。
Sitecore AIは、こうした企業にとって、単なる新しい製品ではなく、次の数年を見据えたコンテンツ基盤として検討する価値があります。
LYZONのように長年Sitecore導入開発に携わってきた立場から見ても、今回の変化は単なる機能拡張ではありません。むしろ、Sitecoreが本来持っていた統合型CMSとしての価値を、AI時代に合わせてより強く再定義した動きだと考えています。だからこそ、以前Sitecoreを知っていた企業ほど、今のSitecoreをあらためて見直す意味があります。
一度見送ったSitecoreを、AI時代の基準で見直してみませんか?
もし現在、CMS刷新やコンテンツ基盤の見直しを進めていて、AI活用も視野に入れているなら、まずは比較の観点を整理することが重要です。機能一覧だけで比較するのではなく、コンテンツ、ブランドルール、DAM、CDP、Microsoft環境との接続まで含めて、どこまで同じ基盤で扱いたいのかを明確にすると、製品の向き不向きが見えやすくなります。
あわせて、次のような観点も整理しておくと、社内での比較検討が進めやすくなります。
- Sitecore導入前に整理したい要件一覧
- AI活用を前提にしたコンテンツ運用設計
- 大企業向けCMS比較で確認したい論点
Webを取り巻く環境の変化に伴い、CMSの評価のポイントも変わっています。過去にSitecoreを検討したことがある場合でも、XP時代の印象、XM Cloudの印象だけで判断せず、AI時代の統合基盤として見直すことをおすすめします。Sitecoreの導入・刷新・活用設計を、長年の構築経験を踏まえて検討したい場合は、要件整理の初期段階からぜひご相談ください。
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