A. 新規構築
Step.2 要件・方式検討
# 新規顧客
会員サイトの作り方は4種類──SaaS・パッケージ・CMS・スクラッチの違いと選び方
会員サイトを作ると決めたとき、最初に迷うのが「どの方式で作るか」です。SaaS、パッケージ、CMS、スクラッチ──言葉は聞くものの、何がどう違い、自社はどれを選ぶべきかが分からない。この記事では、4つの作り方の違いと、方式選びを間違えないための判断手順を解説します。
結論の要約
会員サイトの作り方は、SaaS、パッケージ、CMSベース開発、スクラッチ開発の4種類です。選び方の起点は機能比較ではなく、自社の要件が次の3条件に当てはまるかどうかです。①目的・タイプが複合していないか、②自社だけのオリジナル機能が必要ないか、③基幹システムとの連携が必要ないか。 3つすべてに当てはまらなければ、適したSaaSを探すのが最も費用対効果の高い選択です。1つでも当てはまるなら、パッケージやCMSをベースにした開発、またはスクラッチを含めた検討が必要になります。
まず確認すべき「3つの判定条件」とは
方式選びで最初にやるべきことは、製品の比較表を眺めることではなく、自社の要件を3つの条件に照らすことです。
1つ目は、目的(タイプ)が複合していないか。 会員サイトには、コンテンツ配信型、オンラインセミナー型、カスタマーサポート型、カスタマーサービス型、EC・決済型、代理店向け、社内向け、コミュニティ型といったタイプがあり、タイプごとに特化したSaaSが存在します。重要なのは、SaaSは「特化しているからこそ成立している」ことです。すべてを兼ね備えようとすると製品が破綻するため、どのSaaSもターゲットを絞っています。自社の構想が「リード獲得もしたいし、既存会員向けの手続きもやりたい」のように複数タイプにまたがるなら、その時点で単一のSaaSには収まりにくくなります。
2つ目は、自社だけのオリジナル機能が必要ないか。 標準機能で足りるのか、それとも他社と差別化するための独自の仕掛けが欲しいのか。
3つ目は、基幹システムとの連携が必要ないか。 販売管理や顧客マスタとの連携が要るなら、SaaSの標準機能では対応できないことがほとんどです。
現実には、この3つのどれにも当てはまらないケースの方が少数です。だからこそ「ぴったりのSaaSが見つからない」という状況が頻発します。
4つの方式は何がどう違うのか
SaaSは、月額課金で使うクラウドサービスです。目的が1つで、将来もその目的が変わらず、標準機能で足りるなら、最も安く早く立ち上がります。弱点は拡張です。APIが限られている、開発環境を別に用意する必要がある、APIの作法が独特、といった制約があり、「あとから自由に足す」ことは基本的に苦手です。
パッケージは、自社サーバーやクラウドに導入するソフトウェア製品です。SaaSよりもカスタマイズの余地が大きいのが特徴ですが、製品による差が激しい領域でもあります。ソースコードが開示されているか、アーキテクチャが疎結合に設計されAPIが豊富か。この2点で「カスタマイズしやすいパッケージ」かどうかが分かれます。
CMSベースの開発は、CMS(コンテンツ管理システム)を土台に、会員機能やオリジナル機能をスクラッチで足していく方式です。会員サイトの本質は「会員に何かを伝えること」であり、伝える範囲は全員向け・グループ向け・個人向けの3段階に整理できます。これはまさにCMSの得意分野で、会員サイトとCMSは構造的に相性が良いのです。セミナー専用やサポート専用のパッケージよりも汎用的な土台として使えるため、複合型の要件に向いています。
スクラッチ開発は、独自要件に合わせて開発する方式です。ただし「ゼロから全部手作り」というイメージは実態と違います。経験のある会社は、ログイン・認証・会員管理など汎用化できる部分をモジュールとして持っており、標準仕様と違う部分だけをカスタマイズします。モジュールの蓄積と「会員サイトの標準仕様」を持っているかどうかが、スクラッチの品質とスピードを分けます。
AIでスクラッチの位置づけが変わってきた
これまでスクラッチが敬遠されてきた理由は、仕様を固め、設計書を作り、ゼロから作るためコストが高くなりがちだったことです。この前提がAIによって変わりつつあります。開発標準とモジュールを土台にAIを組み込んだ開発では、従来よりも大幅に効率よく作れるようになり、「こだわりの要件を実現しつつ、コストとスピードはSaaSに近づける」ことが現実的になってきました。オープンソースのCMSとAIを使ったスクラッチ開発の組み合わせは、新しい有力な選択肢です。
とはいえ、順番を間違えてはいけません。目的が1つで、ぴったりのSaaSがあるなら、SaaSで作るのが正解です。 弊社でも、要件を伺った結果「このSaaSで十分です」とお薦めすることは珍しくありません。方式は目的に従うものであって、その逆ではないからです。
まとめ
会員サイトの作り方はSaaS・パッケージ・CMSベース・スクラッチの4種類。選定の起点は「複合・連携・オリジナルの3条件」です。3条件に1つでも当てはまるなら、SaaS単体では収まらない可能性が高く、CMSベースやスクラッチを含めた比較が必要になります。まずは自社の構想を「目的は1つか、複数か」「連携したいシステムはあるか」「独自にやりたいことは何か」の3点でメモにしてみてください。その整理があるだけで、ベンダーとの会話の精度が大きく変わります。
3条件に当てはまるか判断がつかない場合は、要件の整理からお手伝いします。会員サイト構築のご相談はこちら
よくある質問
Q1. SaaSとパッケージはどちらが安いですか?
初期費用はSaaSが安く、長期の総額では逆転することがあります。月額課金は会員数や利用量とともに積み上がるためです。3〜5年の総コストで比較することをお薦めします。
Q2. CMSで会員サイトが本当に作れるのですか?
作れます。ただしCMS単体ではなく「CMS+会員機能のモジュール+必要に応じたスクラッチ」という構成が現実的です。小規模はCMS中心、中規模以上はCMS+スクラッチの組み合わせが定石です。
Q3. 途中で方式を乗り換えることはできますか?
可能ですが、データ移行と機能の作り直しが発生します。「3年で乗り換える前提で安く始める」か「10年使う基盤を最初に作る」かは投資判断そのものなので、構想段階で決めておくべきポイントです。