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会員サイトの作り方の全体像──立ち上げ前に決める5つのこと

会員サイトを立ち上げたい。経営層からの指示、あるいは自部門の企画として話が動き始めたとき、多くの担当者が最初にやるのは「会員サイト 作り方」で検索し、機能やツールの比較記事を読むことです。しかし、機能比較から入った会員サイトづくりは高い確率で行き詰まります。順番が逆だからです。この記事では、ツール選定の前に決めるべき5つのこと──⓪戦略・①入口・②中身・③出口・④継続──を、立ち上げ前のチェックリストとして解説します。

結論の要約

会員サイトの成否は、ツールや機能ではなく、立ち上げ前に次の5つを決めているかで決まります。⓪戦略:そもそも成立する会員サイトか(3Cの確認)。①入口:会員候補に十分リーチできるか。②中身:登録の手間を超えるメリットがあるか。③出口:登録したい人を取りこぼさない導線になっているか。④継続:会員になった後も使い続ける理由があるか。 この5つは掛け算の関係にあり、どれか1つがゼロなら全体がゼロになります。方式選定(SaaSか開発か)やベンダー選びは、この5つが固まった後の話です。

なぜ機能比較から入ると失敗するのか

会員サイトの企画が頓挫する典型パターンは、「どのツールにするか」から議論を始めてしまうことです。機能の話は具体的で進めやすいため、会議が進んでいる感覚になります。しかし機能は手段であって、その会員サイトが誰に何を提供し、なぜ使い続けられるのかという設計がなければ、どんな高機能なサイトも使われません。

弊社は会員サイトの構築会社ですが、その立場からあえて言えば、「作っても使われない会員サイト」の原因のほとんどは構築前の設計段階に埋まっています。だからこそ、立ち上げ前の5つの確認に時間をかける価値があります。

⓪戦略──そもそも「成立する」会員サイトなのか

最初に確認すべきは、施策の前の成立性です。フレームワークとしては3C(顧客・競合・自社)がそのまま使えます。

  • Customer: 集めたいユーザーは誰で、その人たちに「継続的なニーズ」があるか。一度きりの情報入手で終わるテーマなら、会員制にする意味がありません。
  • Competitor: 世の中にはすでに無数のWebサイト・SNS・EC・アプリ・他社の会員サービスがあります。その中で、わざわざ自社の会員サイトを使う理由を説明できるか。
  • Company: この会員サイトだから知れること・できることがあるか。自社の商品、独自の情報、顧客データ、リアル店舗との連携など、自社ならではの資産と結びついているか。

3つの円が重なるところに「成立する提供価値」があります。ここが空白のまま進むと、後続のすべての投資が砂上の楼閣になります。

もう1つ、戦略段階で確認すべきことがあります。会員サイトの目的は1つか、複数かです。見込み客を集めたい(リード獲得)、既存顧客の満足度を上げたい、手続きをWeb化したい──目的が複数あるなら、それは複数のタイプが混ざった会員サイトを作ろうとしているということです。目的の数と優先順位は、後の方式選定(SaaSで足りるか、開発が必要か)を直接左右するため、この段階で言語化しておいてください。

①入口──会員候補に十分リーチできているか

2つ目の確認は、母数です。どれだけ良い会員サイトを作っても、「会員になりませんか」と伝えられている人数が少なければ会員は増えません。

自社サイトのアクセス数、店舗やECの顧客接点、SNSのフォロワー、メールの配信リスト、営業の名刺──今ある接点を棚卸しし、会員化を呼びかけられる母数がどれだけあるかを確認します。母数が足りないなら、会員サイトの構築と並行して、流入をつくる施策(SEO・AIO・広告・店舗での声かけ)を計画に含める必要があります。

②中身──登録の手間を超えるメリットがあるか

3つ目は、会員サイトの中身です。ユーザーにとって会員登録は、入力の手間と「個人情報を渡す」という心理的ハードルの両方を伴います。それを超えるだけのメリット──経済的なお得さ、利便性、会員だけが得られる価値──を用意できているかを確認します。

ここで効いてくるのが⓪で確認した「自社ならではの資産」です。どこにでもある情報を会員限定にしても登録は増えません。この会員サイトでしか得られないものを、具体的なコンテンツ・機能のレベルまで落とし込みます。

③出口──登録したい人を取りこぼしていないか

4つ目は、登録導線です。せっかく「登録してもいい」と思った人が、長すぎる入力フォームや分かりにくい導線で離脱していくのは、最ももったいない失敗です。

入力項目を最小限に絞る、スマートフォンでの操作性を確認する、登録完了までのステップ数を減らす──いわゆるEFO(入力フォーム最適化)の観点で、登録完了までの障壁を下げます。ここはシステム設計の論点なので、構築ベンダーの経験値が出やすい部分でもあります。

④継続──会員になった後も使う理由があるか

5つ目は、登録後です。会員が増えない悩みの多くは新規獲得の問題と捉えられがちですが、実際には「登録したきり戻ってこない」ことが問題であるケースが少なくありません。退会率・再訪率・休眠率に目を向け、新着コンテンツ、会員限定情報、ポイントやランク、キャンペーン、パーソナライズといった「また来る理由」を設計します。

④は、構築後の運用体制の話でもあります。コンテンツを更新し続ける体制、データを見て改善する体制まで含めて、立ち上げ前に計画しておくべき項目です。

5つが決まったら──方式とパートナー選びの考え方

⓪〜④が言語化できたら、はじめて「どう作るか」の検討に入ります。このとき、戦略段階の整理がそのまま判断材料になります。

目的が1つで、標準的な機能で足り、基幹システムとの連携も不要なら、タイプに合ったSaaSを探すのが最も費用対効果の高い選択です。目的が複合している、独自の仕掛けで差別化したい、基幹連携が必要──このいずれかに当てはまるなら、CMSベースの開発やスクラッチを含めた比較になります。

もう1つ、立ち上げ前に決めておきたいのが投資のホライズン(時間軸)です。3年程度で作り直す前提で安く早く始めるのか、10年使う基盤として作るのか。会員サイトは機能を継ぎ足しながら育てていくシステムなので、長く使える基盤を置いて機能拡張を積み上げる方が、提供価値を上げ続けやすいのは確かです。一方で、最初から大きく投資できない場合は、段階を踏む計画をベンダーと一緒に設計するのが現実的です。

まとめ──5つの掛け算で考える

まとめ:会員サイトの作り方の全体像──立ち上げ前に決める5つのこと

会員サイトの立ち上げ前に決めるべきは、⓪戦略(3Cが成立するか)、①入口(リーチ)、②中身(登録メリット)、③出口(導線)、④継続(また来る理由)の5つです。一言にすれば、「そもそも成立するか → 届いているか → 入りたいか → 簡単に入れるか → また使いたいか」。この5つは掛け算であり、1つのゼロが全体をゼロにします。

まずは5つの問いを1枚のシートにして、現時点で答えられる項目と答えられない項目を仕分けしてみてください。答えられない項目こそが、立ち上げ前に埋めるべき宿題です。

弊社LYZONは、この⓪〜④の設計(マーケティング側)と、会員基盤・認証・連携の実装(システム側)を1社で担える体制で、会員サイトの構築をお手伝いしています。宿題が埋まらない段階でのご相談も歓迎です。

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よくある質問

Q1. 5つのうち、最もつまずきやすいのはどれですか?

⓪戦略です。①〜④は施策として改善できますが、⓪の成立性が欠けていると改善のしようがありません。特にCompetitor(わざわざ使う理由)の検討が抜けがちです。

Q2. 5つを決めるのにどれくらいの期間をかけるべきですか?

規模によりますが、数週間〜2ヶ月程度が目安です。重要なのは期間よりも、マーケティング部門とシステム部門の両方が同じシートを見て合意することです。片方だけで決めると、後工程で必ず手戻りが起きます。

Q3. すでに会員サイトがあって会員が増えない場合も、この5つで考えられますか?

考えられます。むしろ既存サイトの診断フレームとして有効です。⓪から順に点検し、最初にゼロ点が見つかった項目がボトルネックです。