データ活用

「データはあるけど活用できない」からの脱却。パーソナライズを成功に導く"因果"と"タイミング"の話

「パーソナライズを始めたいが、何から手をつけるべき?」と悩んでいませんか。実は「30代男性」のような属性分類だけでは成果は出ません。重要なのは、行動データから「因果」を見つけ、最適な瞬間に背中を押すこと。本記事では、確実に成果を出すための「基本の2ステップ」をプロが解説します。

「30代男性」というセグメントに意味はない

パーソナライズを始めようとする際、多くの人がまず「属性データ(年齢、性別、居住地など)」を見ようとします。
しかし、「30代男性」という括りだけで、その人の欲しいものが分かるでしょうか?
同じ30代男性でも、

  • 独身で趣味にお金を使う人
  • 子育て中で節約志向の人

まったく違います。
ここに意味のある文脈(コンテキスト)はありません。
パーソナライズに必要なのは、属性の羅列ではなく「因果関係のある塊(セグメント)」を見つけることです。
例えば、以下のようなデータがあったとします。

  • スポーツ動画配信サービスを契約している
  • 過去にスタジアムでサッカー観戦をしている

ここまで揃えば、「この人はサッカーが好きである(だからサッカーグッズを勧める)」という仮説には強い根拠(因果)が生まれます。
このように、「AだからBをするだろう」という確度の高い仮説が立てられるグループを見つけることが、最初のステップです。

「30代男性」というセグメント

行動データから「無意識の意図」を読み解く

では、どうすれば「因果」が見えてくるのでしょうか。
ここで重要になるのが、「属性データ」と「Web行動データ」の掛け合わせです。
特にWeb上の行動データには、ユーザー自身も意識していない「本音」や「直近の意図」がリアルタイムに表れます。

解約ページや規約ページを見ている

サービスへの不満や、解約を検討しているサインです。
このタイミングでフォローができなければ、離脱は避けられません。

マンションの物件ページだけでなく、ローン審査のページを見た

ただのウィンドウショッピングではなく、購入に向けた具体的な検討フェーズに入っています。営業担当がアプローチすべき「熱い顧客」です。
また、無理にデータから推測せずとも、「アンケートで聞いてしまう」のも有効な手段です。
「ロックとポップス、どっちが好きですか?」と聞いてしまえば、精度の低い推測をするより遥かに正確な「好き」のデータが手に入ります。

行動データの「翻訳」

「ログイン前」の行動こそが勝負の分かれ目

技術的な観点で、多くの企業が見落としているのが「リアルタイム性」と「ログイン前の行動」です。

例えば、旅行サイトを想像してください。
ユーザーが「沖縄 旅行」と検索してホテルを見ている段階では、まだログインしていないことが多い。
そして、いざ予約しようと決めてログインした瞬間に、「沖縄のホテルはいかがですか?」とレコメンドされても意味がありません。
もう決めた後だからです。

本当に効果があるのは、ログインする前の検討段階でのレコメンドです。
これを実現するには、Cookie(ブラウザ情報)と過去の会員情報を紐づける技術が必要です。
「今はログインしていないが、このブラウザの人は以前ログインした〇〇さんだ」と特定できれば、「沖縄のホテルを探している」という行動データをリアルタイムに捉え、ログインした瞬間に、あるいはログイン前の状態で適切な後押しができます。
CDPにデータを溜め込んで、1日1回のバッチ処理で分析しているだけでは、この「今、この瞬間」の熱量を捉えることはできません。

勝負は「ログイン前」に決まっている

「希少性」で背中を押す

意味のあるセグメントが見つかり、タイミングも捉えたなら、最後は「どう背中を押すか」です。
ここで有効なのが、行動経済学的な「希少性(限定)」のアプローチです。

  • 「残りあと1席」
  • 「あと1時間でセール終了」
  • 「今カートに入っている商品を決済すれば5%OFF」

人間は「今決めないと損をする」という状況に置かれた時、購入への意思決定が加速します。
ただし、これを全員に乱発すると「いつも閉店セールをしている店」のように信頼を失います。
「購入を迷っている(カートに入れたまま離脱した)」等の意味のあるセグメントに対してのみ、この限定オファー(レコメンド)を出すことが、コンバージョンへの最後のひと押しとなります。

パーソナライズ成功の2ステップ

まとめ

ここまでの話を整理すると、これからパーソナライズを始める人が意識すべき結論は、非常にシンプルな2つのステップに集約されます。

ステップ1:意味のあるセグメントを見つける

単なる属性(30代男性など)ではなく、アンケート結果やリアルタイムの行動データ(どのページを見たか、何に関心があるか)を掛け合わせます。
「AだからBを求めているはずだ」という因果関係が明確なグループを特定してください。

ステップ2:意味のあるセグメントに適切にレコメンドする

特定したセグメントに対し、リアルタイムにアプローチします。
「迷っている人」に対して「希少性(残りわずか、期間限定)」などのトリガーを用いて、行動(購入・契約)の背中を押してあげてください。
複雑なシステムやAIを導入する前に、まずは自社のデータでこの「因果」と「タイミング」が設計できているか、見直してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

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