属性データ・行動データ

パーソナライズの成否を分ける「属性データ」と「行動データ」の掛け算とは?

CDPを導入しても成果が出ない原因は「属性データ」への偏重にあります。「30代男性」という括りでは顧客の“今”は見えません。成功の鍵は、リアルタイムな「行動データ」との掛け算。本記事では、真のパーソナライズを実現するためのデータ活用の方程式と、システム構成の鉄則を解説します。

「CDP(顧客データ基盤)を導入したものの、結局どう活用していいかわからない」
「セグメント配信をしているが、成果が頭打ちになっている」
多くの企業がデータ活用に舵を切る中で、こうした悩みが後を絶ちません。
データはあるのに、なぜパーソナライズがうまくいかないのか。
その原因の多くは、「属性データ」と「行動データ」という性質の異なる2つのデータを、正しく使い分け、掛け合わせられていないことにあります。
今回は、真に意味のあるパーソナライズを実現するためのデータ活用の鉄則について解説します。

そもそも「属性データ」と「行動データ」はどう違う?

パーソナライズ成功の方程式

まずは、パーソナライズに利用するデータを整理しましょう。
大きく分けて以下の2つが存在します。

① 属性データ(静的データ)

「その人が誰か(Who)」を示す、比較的変化の少ないデータです。

  • 会員情報:年齢、性別、住所、家族構成、年収など
  • 契約情報:利用プラン、会員ランク、過去の購入履歴
  • アンケート回答:「ロックが好きかポップスが好きか」といった趣味嗜好の申告

これらはCDPやCRMに蓄積され、基本的なペルソナを描くのに役立ちます。
しかし、これだけでは「今、何を求めているか」までは分かりません。

② 行動データ(動的・リアルタイムデータ)

「その人が何をしているか(What/When)」を示す、瞬間的に変化するデータです。

  • Webアクセスログ:どのページを見たか、どのカテゴリを回遊しているか
  • 操作ログ:カートに入れた、ローンシミュレーションをした、解約規約を見た

これはユーザーの「現在の意図(インサイト)」を映し出す鏡です。
鮮度が命であり、1週間前の行動データは役に立たないことも多々あります。

なぜ「30代男性」への配信は失敗するのか

どれほど大きな差を生むか

よくある失敗例が、属性データのみに頼ったセグメントです。
「30代男性におすすめ」というレコメンドは、一見正しそうに見えますが、現代の多様化した価値観の中では解像度が低すぎます。
同じ30代男性でも、

  • 独身
  • 子育て中のパパ

興味関心はバラバラです。
ここで重要になるのが、「因果関係(理由)」のあるセグメントを見つけることです。
例えば、以下のようなデータの組み合わせを見てみましょう。

  • スポーツ動画配信サービスを契約している
  • 過去にサッカー観戦チケットを購入し、現地のWi-Fiに接続した履歴がある

ここまで掛け合わせると、「この人はサッカーが好きである」という仮説には強力な根拠(因果)が生まれます。

最強の公式:「属性」×「リアルタイム行動」

「分析」と「実行」の役割分担

成果を出すパーソナライズの方程式は以下の通りです。

成果 = 属性データ × リアルタイム行動データ

特に重要なのが、行動データの「リアルタイム性」です。

ケースA:解約阻止

ユーザーが「解約ページ」や「利用規約」を見ているとします。
これは「解約しようかな」という迷いのサインです。

  • ダメな例:データをCDPに蓄積し、翌日のバッチ処理で「解約防止メール」を送る →すでに解約済みで手遅れ
  • 良い例:そのページを見ている「その瞬間」に、チャットボットでヘルプを出したり、お得な継続プランをポップアップで表示する

ケースB:高額商品の購入(不動産など)

マンションの物件ページを見ているだけでなく、「ローン審査のシミュレーションページ」まで到達したユーザーは、購入意欲が非常に高い状態です。
この「行動」を検知した瞬間に、営業担当へ通知がいき、即座にアプローチできれば成約率は跳ね上がります。
このように、「属性(その人の背景)」を知った上で、「行動(今の意図)」に合わせて背中を押すことが、パーソナライズの真髄です。

アーキテクチャの落とし穴:CDPに全部入れればいいわけではない

真のパーソナライズへのチェックリスト

ここで技術的な課題に直面します。
「CDPにすべてのデータを統合しよう」とすると、パーソナライズの速度が落ちます。
多くのCDPは大量のデータを分析・統合することには長けていますが、ミリ秒単位でレスポンスを返すリアルタイム処理は苦手な場合があります。
バッチ連携などによるタイムラグが発生するからです。

  • 分析(裏側):膨大な属性データと過去のログはCDPでじっくり分析し、「セグメント」を作る
  • 実行(表側):Webサイト上のレコメンドエンジンやMAツールは、リアルタイムの行動データをその場で処理し、CDPから必要なセグメント情報だけを瞬時に引き出して出し分ける

この「分析」と「実行」の役割分担をシステム構成レベルで意識しないと、「データはあるのに動けない」状態に陥ります。

「ログイン前」のユーザーを逃さない技術

最後に、上級者のテクニックを紹介します。
多くのサイトでは「ログインしてから」レコメンドを開始しますが、それでは遅すぎます。
ユーザーはログインする前に商品を比較検討し、意思決定をしているからです。
ここで1st Party Cookie(ファーストパーティクッキー)を活用します。

  • 過去に一度でもログインしたユーザーのブラウザ(Cookie)と会員IDを紐付けておく
  • そのユーザーが久しぶりに(未ログイン状態で)サイトを訪れ、沖縄旅行を検索した
  • システムは「あ、これは会員の〇〇さんだ。今は沖縄に興味があるんだな。」と認識
  • ログインする前のトップページで「会員様限定:沖縄プラン」を表示する

これにより、ログインというハードルを越える前に、ユーザーに刺さる提案が可能になります。

まとめ

パーソナライズは、単にデータを集めるだけでは機能しません。

  • 「属性データ」で顧客の背景を知る
  • 「行動データ」で顧客の今の意図を知る

この2つをリアルタイムに掛け合わせ、「今この瞬間」にオファーを出す

自社のマーケティング施策が「属性だけ」や「過去の履歴だけ」になっていないか、一度見直してみてはいかがでしょうか。

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