Webサイトのコピーライトの書き方を知る

Webサイトの下部に表示されている「© 2020 LYZON Inc.」のような表記。これは著作権表示あるいはコピーライトと言ったりしていましますが、あまり理由を知らずに記述している方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかも、実にさまざまな書き方を見かけます。

今回は、この著作権表示にはどのような意味があり、どのように記述するべきなのかをご紹介します。

各企業の著作権表示

まずは、グローバル企業の著作権表示を確認してみました。

会社 表記
Google 表記なし
Apple Copyright © 2020 Apple Inc. All rights reserved.
Facebook Facebook © 2020
Amazon © 1996-2020, Amazon.com, Inc. or its affiliates
Microsoft © Microsoft 2020
Twitter © 2020 Twitter, Inc.
Alibaba © 1999-2020 Alibaba.com. All rights reserved.
Tencent Copyright © 1998 - 2020 Tencent. All Rights Reserved.

やはり、グローバル企業の中でも、書き方はバラバラです。Googleに至っては記述すらありませんでした。しかし記述の順序は違うものの、ほとんど企業がCopyright/(C)/©・発行年・企業名を入れていることがわかります。All rights reserved. がつく企業とつかない企業がありますが、この呪文はいったいなんなんでしょうか。

昔は国ごとで著作権の扱いが違った

その前に、著作権をめぐる歴史について少し紹介します。

日本の法律において著作権は、著作物が制作された時点で発生します。プロ・アマチュア問わず、何らかの思想や感情が表現されたモノは著作物として認められ、著作権が発生します。この「認める」ですが、日本は国の機関への登録などの手続きは要りません。これを無方式主義といいます。

いっぽうかつてのアメリカでは、著作権を認めてもらうためには申請が必要な、方式主義が採用されていました。

このとき、日本のような無方式主義の国で制作された著作物が、アメリカのような方式主義の国で保護を受けるのは困難だったのです。

日本の著作物は方式主義の国で著作物とは認められない

条約を結んで手続き不要にしよう

このような矛盾あるいは著作権者が不利益となってしまう問題を解消するため、万国著作権条約が制定されました。この条約を結んだ方式主義国は、必要な手続きをしなくても著作権の保護が受けられるようになりました。

しかし現在はアメリカを含むほとんどの国が無方式主義となっているため、この条約による効力は希薄となっています。

©の元ネタは万国著作権条約だった

それでは、はじめの話しに戻りましょう。©や発行年、企業名といった記述は何が元になっているのでしょうか。その答えは、この万国著作権条約の条文にありました。

第三条 〔保護の条件〕 (前略)、著作者その他の著作権者の許諾を得て発行された当該著作物のすべての複製物がその最初の発行の時から著作権者の名及び最初の発行の年とともに©の記号を表示している限り、その要求が満たされたものと認める。©の記号、著作権者の名及び最初の発行の年は、著作権の保護が要求されていることが明らかになるような適当な方法でかつ適当な場所に掲げなければならない。
万国著作権条約パリ改正条約 第2条第1項
*一部を弊社にて強調表示

上記のように、万国著作権条約における著作権表示は、©発行年著作権者 と定められていました。現在Webサイトにみられる著作権表示の由来は、この条文が由来の1つだと言えます。弊社を例に、この条文に完全に一致する著作権表示とするならば、次のようになります。

© LYZON Inc. 2020

最初に挙げたグローバル企業のなかでは、Amazon、Twitter、Alibabaあたりがもっとも忠実に再現していると言えます。条文には順序についての指示はなく、添加文章(All rights reserved. など)を付けてはならないなどの規制もないため、結局はどの書き方も正解であると言えます。

なお先述の通り、現在はアメリカを含むほとんどの国が無方式主義となっているため、この記述を明示することの重要性は低下しています。ただし、もしWebサイトをめぐって裁判となったときに、この表示をしておくことで、損害賠償請求や弁護士費用などで恩典が得られるようです。

著作権表示の記法

ここでは、著作権表示のバリエーションについて、カテゴリーごとにどんな記法があるのかを見ていきます。

代表的な著作権表示の表記方法

©(著作権)

  1. Copyright
  2. Copyright (C)
  3. Copyright ©
  4. ©

傾向としては、④の「©」が広く使用されています。②の「Copryright (C)」は、「©」が機種依存文字にあたり使用できない環境で有効ですが、2020年現在はあまり使用されていません。

発行年

  1. はじめて公開した年
  2. 更新した年
  3. 現在の年
  4. はじめて公開した年-更新した年(現在の年)

②の「更新した年」が広く使用されています。④の「はじめて公開した年-更新した年(現在の年)」の表記も比較的大規模なWebサイトを多く見かけます。

Webサイトをはじめて公開した年が2007年、現在の年が2020年だった場合で考えてみましょう。これを④の記法にする場合、「2007-2020」という書き方になり、はじめて公開した年が2007年、そして2020年に更新されたという意味になります。

なお著作権の保護期間は、個人が制作した著作物は死後70年間ですが、企業などの団体名義の場合は公表から70年間となっています。

著作権者

  1. LYZON Inc.

著作者名が企業名の場合は、その企業の書式によります。日本語表記でも構わないでしょう。

表示

  1. All rights reserved.

この表示はかつてアメリカが加盟する条約で必須であったため日本でも広く知られていますが、現在は不要です。「All right reserved.」や「All rights reserve.」は単に英語の間違いなので気をつけましょう。

表記の例

もっとも一般的な例です。

表記の例 備考
© 2007 LYZON Inc. 発行年を記載
© 2007-2020 LYZON Inc. 発行年と更新年または閲覧年を記載

まとめ

  • 著作権表示不要でも著作権は認められる
  • 著作権表示するなら「©」「発行年」「発行者名」の組み合わせがベスト

Web制作者にとって身近であるものの、どういう理由で付けているのか分からなかった著作権表示。今回の内容を知っておくことで、顧客からの問い合わせに根拠をもって答えたり、あるいはデザインするうえでのヒントにもなりそうですね。

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佐々木

佐々木 Webデザイナー

2014年入社。安定感や清潔感のあるデザインが得意。CMSに導⼊しやすい効率的かつ保守性の⾼いマークアップができ、デザイナーながらフロントエンドの技術も有する。
旅と写真が好きだが、地図を眺めていて1日が終わることがよくある。